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【連続殺人鬼カエル男】中山七里|カエル男の正体とは

連続殺人鬼カエル男

中山七里先生の代表作と言っても過言ではない作品です。

「ハサミ男」という伝説のミステリー小説がありましたが,それを思い起こさせられる「カエル男」

あの「さよならドビュッシー」とともに「このミステリーがすごい大賞」にダブルノミネートされた作品でもあります。

本作品,ドラマ化されていたんですね。関西テレビで。

犯人を追う古手川刑事を工藤阿須加さん,上司の渡瀬を鶴見辰吾さんが演じています。

この古手川や渡瀬は「法医学教室シリーズ」や「御子柴礼司シリーズ」にも登場する刑事です。

やはり中山七里先生の作品は,シリーズを超えた繋がりがあるから本当に面白いです。

「吊るす」「潰す」「解剖する」「焼く」というそれぞれの短編の冒頭で殺人事件が起こります。

この4人の共通点は何か。真犯人は一体誰なのか。

一気読み必至の作品です。

こんな方にオススメ

● 連続殺人鬼「カエル男」とは何者なのかを知りたい

● 刑法39条について考えてみたい

作品概要

史上初! 最終候補にダブルエントリーされ、「こっちを読みたい!」という声が続出した話題作。『さよならドビュッシー』『おやすみラフマニノフ』に続く中山七里の最新刊。『このミス』ファン待望の作品が、満を持して登場!
マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは? どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。
-Booksデータベースより-



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主な登場人物

古手川和也・・埼玉県警捜査一課の刑事

渡瀬・・・頼りになる古手川の上司

当真勝雄・・・「カナー症候群」の青年。歯科で働いている

有働さゆり・・当真勝雄の保護司

御前崎宗孝・・精神科医。過去に孫娘を殺害された

本作品 3つのポイント

1⃣ 連続殺人鬼現る

2⃣ 止まらない連続殺人

3⃣ 「カエル男」の正体

連続殺人鬼現る

ある新聞販売店の男が,原付に乗って新聞配達していました。

あるマンションに着いた時,三日前からブルーシートが吊るされていることを思い出すのです。マンションそして恐ろしいものを目にするのです。口からフックで吊るされた女性の遺体でした。

この事件に,埼玉県警の古手川和也が捜査に乗り出します。

一枚の紙切れが落ちていることに気づきます。そこにはこう書かれていました。

きょう、かえるをつかまえたよ。

はこのなかにいれていろいろあそんだけど、だんだんあきてきた。
おもいついた。

みのむしのかっこうにしてみよう。

くちからはりをつけてたかいたかいところにつるしてみよう。

犯行声明でしょうか。子供が書きそうな文章ですよね。そうと見せかけて実は立派な大人が書いたのか。

被害者は荒尾礼子という女性でした。

世間はこの事件の犯人を「カエル男」として取り扱うのです。

この犯人は精神疾患に侵されているのではないかということで,一人の少年に目を付けます。

当真勝雄という十八歳の青年です。勝雄は過去に幼女を殺害した経歴がありました。当真勝雄彼はカナー症候群であると診断されていたようです。

カナー症候群とは

知能や言葉の発達の遅れ(知的障害)を伴う自閉症の通称。

現在の医学的な診断名としては「自閉症スペクトラム」と呼ばれることが定着してきている。

自閉症状だけではなく知的障害への支援が特に重要になってきます。

-LITALICO発達ナビより-

知的障害があると認定され医療少年院に入ります。

施設を出た勝雄は,現在は歯医者の雑用などを任せられていました。歯医者この男が怪しいと踏んだ古手川は,勝雄を徹底的にマークするんですけど,どうも腑に落ちない感じ。

とても真面目な印象があるのです。でも読んでる方からするとかなり怪しい人物に思えます。

そして事件は冒頭の女性だけではありませんでした。

ある廃車工場で,車をプレスにかけていた男が異様な音を聞きます。そして異臭も。。。廃車工場そこには頭蓋骨とプレスにかけられた肉片がありました。

古手川は上司の渡瀬とともにかけつけます。

亡くなったのは指宿仙吉という老人でした。警察は早速捜査を開始します。

ここで古手川の上司である渡瀬も登場。この二人,ホントにいろんなシリーズに登場するなぁ。

この時点で二人の共通点を探そうとするんですけど,決定的なものが出てこない。

時々「ナツオ」という人物の回想シーンが登場します。

ナツオは幼い頃から虐待されており,解離性同一性障害,つまり多重人格を持っている様子。解離性同一性障害この人物もかつて女児を殺害した経歴があり,少年院で生活したこともあるようなんですね。

う~ん,やっぱ「ナツオ=カツオ」なのか。それとも,引っ掛けなのか。

そして,また殺人事件が発生していまうのです。

止まらない連続殺人

次にターゲットになったのは男児のようです。その殺害のされかたがエグい。

食道から恥骨まで引き裂かれ,内臓は取り出され,肋骨しか残っていない。

何,今回の犯人はサイコパス? なんて残酷な。。。

捜査の結果,殺害されたのは有働真人という小学生でした。

母親の有働さゆりは,子供が文房具を買いに出かけて,一時間も帰ってこないため,交番に届けたということらしいです。電話母親は当然半狂乱状態。しかも自宅の外にはマイクを持ったマスコミが。

「お母さん,今のお気持ちを一言」「なぜお子さんが狙われたとお思いですか?」

被害者遺族の気持ちを考えない,モラルのかけらもないですよね。

警察では,犯人像を推理したり,あーだこーだと罵声が飛び交う状態。しかしここで一人の刑事が気づきます。

犯人は五十音順で被害者を選んでいる」と。

ひらめく刑事確かに,アラキイブスキウドウ,と並んでいますよね。

ということは次のターゲットは「エ」で始まる人物。

でも,そういう人は無数にいるわけで,やはり共通点が必要になります。

そうこうしているうちに,次の事件が発生してしまいます。

ある男性が河川敷を歩いている途中,何者かが彼の後頭部を打ち付けます。

河川敷相手の手を噛むなど,必死に抵抗する男性でしたが,徐々に首を締めあげられます。

そしてこの男性は焼死体で見つかりました。

名前は衛藤和也。やはり「」で始まる人物が殺害されてしまいました。

ここまでヒントがありながら,事件を防げなかった警察に,事件の舞台となっている飯能市の住民たちは声を上げます。

「責任者を出せぇ!」「サイコどものリストを渡せぇ!」

古手川たち警察は住民を押さえつけようとします。抗議デモ法則性はわかっても,共通点がわからないですよね。でも捜査の結果,ようやくその共通点が見つかった

実は被害者4人の大きな共通点は「沢井歯科」の患者でした。つまり,勝雄が働いている場所です。

そして,三人目の被害者の母親である有働さゆりから古手川に電話が入ります。

「沢井さんから電話があって,大勢の人が勝雄君を引き渡せって病院に。。。」

とうとう住民たちは,勝雄にまで行きついてしまったようです。

確かに,五十音順に犯行が可能なのは沢井歯科の人間だけです。カルテを見れば一目瞭然。勝雄はそのカルテを見るチャンスもあるし,実際に患者を見ることもできますもんね。

勝雄が犯人なのか。勝雄はやってないのか。どうなのか。

ここからが注目すべき展開です。一体,結末はどうなるのか?

「カエル男」の正体

この後の結末は実際に読んでほしいと思います!

一連の殺害方法や,殺人の動機もそうですが,一番印象に残ったのは「刑法39条」のことです。

とにかくこの条文がストーリーを構成している小説に出会うことが本当に多いです。

被害者遺族だけでなく,私たち一般市民にとっても恐ろしいものだと思います。被害者遺族もし自分に,また自分の身近に同じことが起こったら,果たして耐えられるのでしょうか。

同じ時期に描かれ,ともに「このミステリーがすごい」にノミネートされた「さよならドビュッシー」とは正反対の作品でした。

気になるのは本作品には続編があります。「連続殺人鬼カエル男ふたたび」です。

是非,読んでみてください!

この作品で考えさせられたこと

● 「カエル男」の正体に驚きました

● 実は続編を読むと面白い

● 刑法39条について考えさせられた

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