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【日本沈没】小松左京|日本が沈没するリアルな描写

日本沈没

これまで生きている間にいくつかの大きな地震を見てきました。正確にはモニターを通してその悲惨な現場を見たという方が正しいでしょうか。

1995年の阪神淡路大震災,2011年の東日本大震災,2016年の熊本地震など,それ以外にも数多の地震が起こってきました。

鹿児島でも桜島の大噴火(いわゆる大正大噴火)が1914年に起こっています。

桜島この作品は1973年に映画化されており,最近でもネトフリで「日本沈没2020」としてアニメ化されました。

そのくらい地震というのは身近なもので,将来的にも私たちの生活に大きな災害をもたらすことがあるかもしれない。

そういう意味では,長い時間が過ぎて時代が変わっても甚大な災害は変わることのないものであるのだと思います。

つまり,人間の力ではどうしようもないとてつもなく甚大であることは今も昔も不変であるということなのでしょう。

この作品では,日本が沈没する日へ向かって,どのようなことが起きるのか,人は立場によって何を考え,どう行動するのということが描かれています。

こんな方にオススメ

● 日本が沈没するというストーリーを読んでみたい

● いつか起こるであろう地震に,人類はどういう行動をするのかを考えたい

● 日本の地形,日本を取り巻く構造について考えてみたい

作品概要

鳥島南東の無人島が忽然と消失した謎を探るべく、深海潜水艇“わだつみ”で調査に向かった小野寺は、
日本海溝に沿って地殻の活動が、異常に活発化していることに気付く。
一方、相次ぐ噴火や地震に異変を感じ取り、行動を開始した地球物理学者の田所博士の前には、
渡老人という政府にも隠然たる影響力をもつ人物が現れた。
日本の危機を悟った科学者たちは、どうするのか……。
今なお日本SFの金字塔として色褪せない名作!
-Booksデータベースより-




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本作品 3つのポイント

1⃣ 日本列島とその構造

2⃣ 日本沈没へ向かって

3⃣ 最大の危機に人類はどうするのか

日本列島とその構造

地震大国日本。世界で発生する大地震の20%は日本で起こっているという統計があります。

なぜそこまで日本には地震が多いのか。それは間違いなく日本列島とその周囲の構造にあります。

日本は4つのプレートの上に乗っているといえます。北には「北アメリカプレート」,西には「ユーラシアプレート」,南には「フィリピン海プレート」,東には「太平洋プレート」があります。

4つのプレート特に後者の二つについては,そのプレートが日本列島の下に沈んでいくような形で絶えず動いているわけです。

このプレートの歪みによってプレートが跳ね上げられ,マグニチュード9.0という前代未聞の規模の地震を引き起こしたのが東日本大震災です。

そして同様の原因で「南海トラフ」地震が近い将来発生するのではないかと言われています。いつ起こるかわかりませんが,歴史を見ると確実に起こると思わされます。

地球の奥深いところにはマントルがあってそれが絶えず対流してします。

「グーグルアース」を見ると,このプレートがどこなのかがはっきりとわかります。

三陸沖には恐ろしく深い「日本海溝」が横たわっており,そこに太平洋プレートが深く入り込んでいるわけです。

日本海溝またフィリピン海プレートのと日本列島が重なる場所にも同じような部分があります。

東日本大震災の時には牡鹿半島が5メートルも動いたと言われます。

地震が起こった,どこで起こった,震源地はどこか,という情報も,このようなマクロ的な,地球規模的な見方をすればよくわかります。

日本が簡単に移動してしまったり,島が一つなくなったりするということはわかるような気がします。

そしてあの「南海トラフ地震」もいつ起きてもおかしくないな,と思わされるわけです。

日本という国はプレートの端にかろうじて乗っかってる日本,今にもそこから大陸がこぼれおちそうになっている日本は今後どうなっていくのでしょうか。

日本沈没へ向かって

1923年,関東大震災が起きました。関東地方のライフラインは分断され,10万人もの人々が命を落とすという大災害になってしまいました。

その震災から50年経った1973年,その苦しみを忘れないようにからか,本作品が制作されます。

北アメリカプレートにフィリピン海プレートが潜り込むというのがこの地震の原因だと言われています。やはりプレートが関係しています。プレートが潜り込む今回の話は,かつて日本を震撼させたあの大震災が再び関東で起こり,そこで多くの人々がどのような行動を起こすのかということが描かれています。

いろいろな情報をもとにシミュレーションを行った結果,日本は約300日後に沈没するという計算結果が出てしまうのです。

地殻変動により,日本の裂け目であるフォッサマグナから日本は分断されてしまうというのです。

その前兆となっているのが火山の噴火。

火山の噴火結局プレートの話も火山の噴火も,地球規模で考えればマントルの動きに左右されるわけで,その変動のしかたによっては最悪の事態が考えられる。

阿蘇山が噴火し,それを皮切りに多くの火山が連続的に噴火していきます。

国民はパニックに陥り,株価暴落,日本国債も大暴落,銀行の預金の大量の引き落とし,スーパーから食料品がなくなり,経済は大打撃となりました。

日本経済打撃潜水艇による海底の調査によって,地球内部のマントルの変動が徐々に激しくなっていて,このままいくと地震だけにはとどまらず,最悪は日本が沈没することになりかねない。

国民は日本からの脱出を図ろうと空港へ押し寄せ,海外への移動が始まってしまいます。

そしてとうとう,その序曲と言われるような現象が起こります。

地震,火災,津波,火山活動,などによって首都圏はパニックに陥り,360万人もの人々が亡くなるという史上最悪の事態になってしまうのです。逃げる地殻変動にスピードが速まり,紀伊半島の山は割れ,大阪は海に沈んでしまいます。最終的には,北海道,四国,九州も海の中です。まさに日本列島の大沈没でした。

最後は,プレートに仕掛けた核爆弾のようなものでプレートを分断し,マグマの活動を収束していったわけです。

この本を読もうと思った時,まさかここまで日本沈没を恐ろしく描いているとは思いませんでした。日本沈没日本という国は本当に地震や火山活動などの災害と隣り合わせの状態にある。

今回のシミュレーションや地震の予知についても,多額の予算で開発してできるだけ災害を最小限に抑えようとしてしているのだとは思います。

しかしいくら予知できたとしても,この災害を食い止めることは絶対にできないのではないかと思わせられます。

我々が見ているもの,我々がやろうとしていることというのは,地球規模で考えるとほんの些細なものに思えてしまいます。

東日本大震災レベルの地震はこの先も起こる可能性は十分にある。

いくら科学が発達しているとはいえ,焼け石に水ではないが,人間ができることは大したことではないと思います。

今後,マグニチュード10という巨大な地震がやってきたと仮定した場合,多くの人間が命を落とすと思えてなりません。大地震今でも時々地震が起きますけど,完璧に抑え込んでいるのを見たことがないですから。

でも,できる限り過去の多くの人々が災害と隣り合わせで生きながら,これまで伝えてきたものを受け継ぎ,最小限の被害にとどめるしかないのだと思います。

最大の危機に人類はどうするのか

正直,このレベルの未曽有の災害が起きた場合に自分が生き延びていられるだろうかと考えた場合,それは何ともいえません。

それは地球の活動というものがある程度予測はついても,それで完全に防げるかと言われればその確証がないと思います。

この作品のように生きるために海外に出ようとする人もいるだろうし,覚悟を決めて日本でじっとしてただ死を待つのみという人もいるかもしれない。

隠れる命がどうなっても他人を守ろうとするのか,私利私欲で自分だけ生き延びればよいと考えるだろうか。

万が一のためにしっかり準備している人もいるだろうし,あの時準備しておけばよかったと後になって思う人もいることでしょう。

そこにはきっとその人の人間性が現れると思います。

災害のレベルはわかりませんが,できるだけ生き延びたいというのは本音ですし,そのための準備もしておきたい。

多くの科学者の予知やいろいろな情報を信じていけば救われることがあるかもしれない。避難かつて「人の命は地球より重い」といった首相がいました。

自分の研究が少しでも人命を救うことになれば,と考えている研究者もいるでしょう。

この作品を読めば少しの可能性を信じて,生き延びるための準備というものしなければいけないのではないか。

そういうことを訴えるような作品だったのではないかなと思います。

日本が沈没するという大災害が起こった時,あなたはどうしますか?

この作品で考えさせられたこと

● 日本の構造を知ることで,将来の日本の危険について深く考えた

● 本作品のようなことが実際に起こった場合の人類の行動

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