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【宿命】東野圭吾|幼馴染の二人の「宿命」とは

宿命

宿命」という言葉。みなさん使ったことありますか?

普段なかなか使うこともないし,自分の人生の中でも「これは宿命だ」と言うこともないような気がします。

そもそも「宿命」とは何か。調べてみると

● 前世から決まっている運命
● 避けることも逃げることもできない運命

「運命」という言葉が出てきます。運命は,自分の意思に関わらず巡ってくる大きな出来事だと思うので,宿命というとかなり重い気がします。

本作品はその「宿命」についてです。読めばわかりますが,本当に「宿命」と言わず何と言うのか,というくらいこの言葉が当てはまる作品になっています。

二人の男の宿命を描いた作品です。

こんな方にオススメ

● 本作品の「宿命」とは何かを知りたい

● 自分自身の「宿命と何か」を考えてみたい

● 最後の最後に明かされる衝撃の結末を読んでみたい

作品概要

高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に10年ぶりに現れたのは学生時代のライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの2人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。
-Booksデータベースより-




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主な登場人物

和倉勇作・・・主人公。刑事。晃彦とはかつてライバルだった

瓜生晃彦・・・医学部で研究職を行っている。

瓜生美佐子・・晃彦の妻。勇作とはかつて恋人同士だった

本作品 3つのポイント

1⃣ 勇作と晃彦のルーツ

2⃣ 勇作・晃彦の再会

3⃣ 二人の「宿命」とは

勇作と晃彦のルーツ

主人公の和倉勇作は幼い頃,レンガ病院に遊びに行ってました。そこで出会ったのが「サナエ」という女性でした。

彼女は知能の低い女性でした。何か,胡散臭い感じのする病院です。

レンガ病院で遊ぶサナエと勇作そもそもこの病院が何をする病院なのか。というのはだいぶ後になってからわかります。

ある日,そのサナエが病院の窓から転落死するという事件が発生します。

警察はこれを「自殺」と踏みますが,勇作の父親であり刑事の興司は「他殺」と睨みます。勇作の父,興司しかし,捜査は打ち切られ,サナエのことは次第に忘れ去られていくのです。

時は立ち,次は瓜生晃彦が登場します。彼はUR電算の御曹司でした。

父親であり,社長でもある直明から,会社を継ぐように言われますが,晃彦は医学部を目指していたので,結局会社を継ぐことはできませんでした。結局,継いだのは須貝正清でした。後を継がないことを決意した晃彦ところがこの正清が何者かに殺害されてしまうのです。背中にはボウガンの矢が刺さっていました。このボウガンは正清がコレクションにしていたものです。

この殺人事件を捜査したのが,刑事になった和倉勇作でした。

ここで和倉勇作と瓜生晃彦が運命的な再会を果たすのです。

勇作と晃彦の再会

勇作と晃彦。実は幼馴染の同級生でした。
かつてはライバル同士で,勇作は晃彦には勉強で勝てませんでした。

そして二人が目指した医学部に合格したのも晃彦でした。勇作は父親の跡を継ぐように警察官になり,晃彦は医学研究者の道を歩み始めます。晃彦と勇作の再会その二人が今回の事件で再び対決することになるのです。

正清が殺害されていたのは墓地でした。そこに花びらが落ちているのを発見します。
この花びら,どうやら瓜生家の庭にあるものと同じもので,勇作は瓜生家の誰かが犯人だと考えるのです。

勇作にはもう一つ気になることがありました。それは晃彦の妻の美佐子とは,かつて恋人同士だったということです。

晃彦と結婚したということを知り,勇作はかなり衝撃を受けていたようです。

ここでも皮肉な運命だなって思ってしまうんですけど,美佐子が瓜生の妻になったのには理由がありました。

美佐子の父親が,脳に障害を持ってしまい,治療した場所がレンガ病院だったのです。

レンガ病院やはり「脳」に関係する何かがあるのでしょうか。

美佐子の父親はここでUR電算に転職するのです。そして娘である美佐子も同じようにUR電算に入社します。UR電算に入社した美佐子晃彦と美佐子の出会いはUR電算だったのです。そして二人は結婚するのです。

どうやらレンガ病院になにかありそうです。

二人の「宿命」とは?

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過去のサナエの事件と今回のボウガンの事件の関連性に晃彦が関わっていることを確信し、勇作は晃彦を疑い、追いつめようとします。ボウガンしかし,ボウガンの矢の犯人は晃彦ではありませんでした。UR電算の常務でした。

やはり今回の話は「何が宿命なのか」というのが重要なポイントだからです。

晃彦は全てを知っているようです。過去にサナエが亡くなったことも。そして過去の瓜生家のことが明かされるのです。

レンガ病院の院長と,瓜生の祖父は人体実験に関わっていました。多額の報酬と引き換えに。人体実験それは,脳内にチップを埋め込み,そこに信号を流すことで操ろうという恐ろしいものでした。

その実験台になっていた女性。それが「サナエ」でした。彼女はこの実験の後遺症で知能が著しく低下してしまっていたのです。

サナエの実験を続けようとした時,抵抗したサナエは病院から転落してしまったのです。

そしてここからが重要なポイントです。彼女は妊娠していたのです。

その後,知能が急速に低下し,このまま育てるわけにはいかないということで,一人を瓜生和明が引き取るわけです。

一人。。。実はサナエの子供は双子だったのです。そしてもう一人の子供は和倉興司が引き取ります

えっ? まさか。。。そうなんです!

瓜生晃彦と和倉勇作は双子の兄弟だったのです!

勇作と晃彦は双子いや,ちょっと待って。。。頭が混乱する。。。

「宿命」とは,避けることも逃げることもできない運命。

確かに勇作と晃彦が双子だったのは事実。この事実から避けることはできません。

彼らは一卵性の双子ではなかったのでしょうか。一卵性であればおそらく似ているわけでしょうから,そうではなかったのだと推測できます。

幼い頃から近くにいて,ライバル関係だった二人。

ライバル関係それとも,それが「宿命」であることを匂わす表現がどこかにあっただろうか,と考えたりもしました。

確かに彼らは二人とも頭脳は優秀で,同じ医学部を目指したこともある,というエピソードを考えれば,納得いく部分もあるかなとは思います。

もし瓜生家で事件が起こらなかったら,勇作と晃彦は再会することはなかったのでしょうか。

それにしても,最後の最後の衝撃は忘れられません。

まさに「宿命」,彼らが再会したのも必然だったのでしょう。ライバル関係人間は皆,何かしらの宿命を背負って生きているのでしょうか。自分にも何か持っているものがあるのだろうか。

ふと,そんなことを考えさせられる作品で、東野先生の作品の中でも忘れられないものになっています。

この作品で考えさせられたこと

● 二人の「宿命」に驚愕しました

● 自分にも何かしらの「宿命」みたいなものがあるのだろうか

● 二人の宿命を作り上げたのは,過去の大きな出来事だった

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