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【マリアビートル】伊坂幸太郎|新幹線内での殺し屋抗争

マリアビートル

グラスホッパーシリーズ」の第2作目の作品で,かなり好きな作品です。

と思っていたら,大変なニュースが飛び込みました。

マリアビートルがハリウッド映画の原作に決まりました!

その名も「ブレットトレイン」!

主演があの「ブラットピット」ですから。すごい伊坂先生!

そもそもマリアビートルとの出会いは,先にグラスホッパーを読んだんですけど,あまりの面白さに本作品を手にしたということです。

全て新幹線の中でのストーリーとなっています。

登場人物が多かったので,最初入り込むのに時間がかかりましたけど,中盤から先は本当に一気読みでした。

この閉じられた空間の中で,ここまで面白く描けるのかと作者のすごさを感じさせられます。

こんな方にオススメ

● 「グラスホッパー」の続編を読んでみたい

● 新幹線の中だけでの,殺し屋同士のかけひきを描いたストーリーを読んでみたい

● 最後の最後にスカッとしたい!

作品概要

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。
-Booksデータベースより-




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今回の話もスピード感があって,とても面白い作品になっています。

伊坂幸太郎さんの経歴

1971年生まれ 東北大学法学部 卒業

システムエンジニアとして働く傍ら,執筆活動も行う

主な受賞歴

新潮ミステリー大賞(オーデュポンの祈り)・吉川英治文学新人賞(鴨とアヒルのコインロッカー)・日本推理作家協会賞(死神の精度)・山本周五郎賞(ゴールデンスランバー)・大学読書人大賞(マリアビートル)・柴田錬三郎賞(逆ソクラテス)

主な登場人物

木村雄一・・元殺し屋。新幹線で「王子」に復讐しようとする

王子慧・・・最凶の中学生でラスボス。木村の息子に大けがをさせた

蜜 柑・・・殺し屋。金を回収するために,新幹線に乗り込む

檸 檬・・・殺し屋。蜜柑とタッグを組んでいる

七 尾・・・蜜柑たちのカネを横取りしようと計画していたが。。。

木村茂・・・雄一の父。途中から新幹線に乗り込んでくる

本作品 3つのポイント

1⃣ 東北新幹線の中での抗争

2⃣ 偽善者「王子」

3⃣ 伝説の殺し屋登場!

東北新幹線の中での抗争

今回は東北新幹線の中で,木村という男が自分の息子の復讐のために「王子」という悪の中学生に復讐しようとするところから話は始まります。木村木村の息子は,王子にデパートの屋上から突き落とされて重体となって病院に入院していました。

その復讐で,木村は東北新幹線に乗り込んでいるのです。

東北新幹線ところが,そんな企みを王子に見破られ,スタンガンで気絶させられた上に,新幹線内で拉致されてしまいました。

王子は中学生とは言っても,相当な悪党で頭がいいです。

蜜柑と檸檬という殺し屋の二人組も新幹線に乗り込んでいました。

彼らは峰岸という闇の帝王みたいな人間の依頼で,誘拐された峰岸の息子を救出して,同時に身代金の入ったトランクを持ち帰ることが目的でした。蜜柑と檸檬ところがトランクは盗まれ,息子も殺害されてしまうのです。

「どうする? 俺たちヤバいぞ」という感じの蜜柑と檸檬の二人。

トランクは,実は七尾という男に盗まれてました。

七尾は「グラスホッパー」でも登場する「天道虫」と呼ばれる男でおなじみですね。

トランクは無事に手に入れたと思いきや,今度はそれを「王子」が奪ってしまいます。
紛失したことに慌てる七尾。

というふうに,話は複雑に絡み合っているんですね。

ある人間が起こした行動を、別の人間はどう考えているのか。

異なる角度からリアルタイムに実況報告されるような、ドキドキするような展開が続きます。

偽善者「王子」

檸檬はとうとう王子・木村と,遭遇します。

この二人を怪しんでいた檸檬は王子を問い詰めます。「お前,何してるんだ?」

ここで王子はいい子ぶるんですね。「このおじさんに脅されている」と。

大けがをしている木村を王子は隠します。

檸檬は亡くなってしまいます。王子は木村と共に檸檬を隠しました。

今度は蜜柑が,瀕死状態の木村を発見します。同時に遺体となった檸檬も。

ここで蜜柑は「王子」を疑い始めるんですね。「お前がやったのか?」

しかし王子は今度は七尾に匿ってもらおうとするんです。

七尾も王子を護ろうとするんですね。七尾のアホ。。。七尾と王子というふうに,王子という中学生はホントに腹が立つキャラです。

この後も,何度もこの王子はピンチを迎えるんですけど、すんでのところで逃れるたびに、読んでる方もストレスを感じてしまいました。

この辺りが伊坂さんのうまさかなとも思います。

そして,話はクライマックスへと行きます。

とうとう王子の前に「ある人物」が登場するのです!

伝説の殺し屋登場!

※ネタバレを含みますので,見たい方だけクリックしてください!

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この話の一番のクライマックスは何と言っても、木村の両親である老夫婦の登場です。

木村の両親ずーっと電話で木村と話をして,現在がどういう状況なのかを報告してきたんですけど,

ようやくここで本当の強さを見せてくれます!

電話の内容で完全に「王子」を疑っていた木村の両親は,

かわいい仮面をかぶった王子の正体を見破り、銃を突きつけます。

心の底から「この王子を早く成敗してくれ!」と思いました。

やはり最後はそれなりの罰を与えられる。

伊坂さんの得意な「天網恢恢疎にして漏らさず」ですね!

天網恢恢疎にして漏らさず最後,王子がどうなったかは具体的には描かれてないんですけど、きっと彼は終わってしまったんだろうなと想像できます。

息子を救うための木村の勇気、本当に感動しました。

傷だらけになりながらも息子のために命をかけて行動する姿。

「王子を早くこらしめてくれ!」という大きなストレスからようやく解放された時の爽快感は本当に最高でした!

この作品を読んで考えたこと

● 多くの人物を登場させ,それを新幹線の中だけで構成してしまう作者のすごさ

● 「天網恢恢疎にして漏らさず」の結末が最高でした

● 子供の復讐に燃えた木村の勇気に感動しました

このシリーズは実はまだ続編があるんです。「AX」です。

これも面白いので,是非ご一読を!!

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