マスカレードシリーズが圧倒的な人気ですね。
このシリーズ480万部を超えたってことで,その人気の高さを感じますよね。
東野圭吾さんの代表作となってしまうなんて,「マスカレード・イブ」を読んだときには正直思ってませんでした。
本作品はマスカレードシリーズ第3弾。2021年の9月に公開された映画の原作となっています。
最近読んで感じるのは,これはやはり映画を意識して作られたのかなってことです。
木村拓哉さんと長澤まさみのイメージもそうなんですけど,演出をしやすい表現を使っているようにも感じました。
さすが東野圭吾先生。熟練した作家さんというのはここまで考えて描けるんだろうなと感心します。
目 次
1. こんな方にオススメ
2. 登場人物
3. 本作品 3つのポイント
3.1 殺人予告
3.2 怪しい宿泊客たち
3.3 マスカレード・ナイト
4. この作品で学べたこと
● 冒頭の殺人予告の犯人が誰なのか知りたい
● 次々にやってくる宿泊客の中の誰が犯人なのかを予想してみたい
● カウントダウンパーティーで一体何が起こるのかを知りたい
若い女性が殺害された不可解な事件。警視庁に届いた一通の密告状。
犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!? あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再び――。
-Booksデータベースより-
新田浩介・・・主人公。捜査一課警部補
山岸尚美・・・ホテルのフロントクラーク
能 勢・・・・刑事。新田の強い味方
日下部篤哉・・宿泊客。ホテルにプロポーズ演出を依頼する
仲根緑・・・・宿泊客。二人で予約。一人だけの偽装宿泊?
曽根昌明・・・コルテシア東京の常連客。
貝塚由里・・・コルテシア東京の常連客。曽根と不倫している
浦辺幹夫・・・宿泊客。春菜の元恋人?
1⃣ 殺害予告
2⃣ 怪しい宿泊客たち
3⃣ マスカレード・ナイト
ホテル「コルテシア東京」で「マスカレード・ナイト」というイベントが予定されていました。
そこに殺人犯が現れて事件が起こるという予告みたいな文書が警察に届いたところから話は始まります。
「12月31日のカウントダウンパーティーに殺人が起こる」と。
犯人が送ったのか,それとも別の誰かが送ったのか。
そこで刑事の新田と,コンシェルジュの山岸尚美がまたタッグを組んで事件を未然に防ごうとするわけです。
「犯人」はすでに一人殺害してました。和泉春菜という女性が感電死で亡くなってます。
この事件と今回の事件がどうつながっていくのかを想像しながら読むんですけど,今回の作品もなかなか手ごわそうです。
次に書いてあるようにどんどん宿泊客がやってきます。
一体誰が犯人なのだろうかを想像しながら読みました。
日下部という宿泊客が尚美に依頼をします。
「レストランを貸し切って,バラのロードを作ってプロポーズを演出してほしい」
普段からのおもてなしの精神で尚美は依頼通りにします。
しかし,その相手の妙子という女性からは「プロポーズを断る方法を考えてほしい」という依頼を受けるのです。
えっ? そんなことまでホテルに頼む?
しかしそこはさすが尚美。バラとスイートピーのロードを作ります。
バラの花言葉=愛情,スイートピー=門出・旅立ち。
日下部が妙子の門出を祝福するという演出になり,日下部も満足。
ん~,よく考えられてるなぁ。さすが東野圭吾先生,いや山岸尚美。
次に仲根緑がやってきます。しかしクレジットカードが「マキムラミドリ」となっています。
仲根伸一郎と同室になっていて,「これは不倫?」という感じ。
しかし,部屋には緑しか出入りしてません。怪しい。。。
この辺りも普通は詮索しないんでしょうけど,密告状が届いているから警戒するわけですね。
どうやらこの婦人,故人である伸一郎を偲んでの宿泊だったのですね。
そして彼女はチェックアウトしていくのです。
次に常連客の曽根昌明がやってきました。彼は不倫のためによくホテルを利用しているようです。
ところがこの日は家族で宿泊。妻と中学生の息子の三人でした。そうするとドキドキする展開が。不倫相手の貝塚由里が宿泊してきました。しかも貝塚は曽根の妻の友人。
は~,これは大変なことになりそう。。。
曽根は家族を残してチェックアウトしていきました。仕事の急用が入った模様。
そして,浦辺幹夫が宿泊します。彼は一人だったのですが,実は冒頭の殺人事件の被害者である春菜と交際していたようなのです。
しかし彼は「誰かわからないが,脅されてこのホテルへ来た」ということを伝えます。
ん~,怪しい気もするし,そうでない気もする。。。
このように何人かの客が登場し,どの客が「仮面」をかぶっているのかを予想しながら読むんですけど,状況が目まぐるしく変わっていきます。
そのスピード感がとても心地よく,一気読みしました。
そしてとうとう「カウントダウンパーティー」が始まってしまいます!
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400人の客が全員仮面をかぶっている光景ってどんなものなんでしょうか。
間違いなくこのパーティーで犯行が行われるわけですから,警察側も焦ることでしょう。
そうしているうちに,尚美はチャペルである人間に拘束されてました。尚美ピンチ!
電気コードを通される尚美。間違いなく犯人は感電死させようとしています。
犯人は会場に戻ってきました。仮面を着けて。
その姿を監視していた新田。どうする新田!
カウントダウンが始まり,ゼロになった瞬間に新田はその人物の仮面を剝ぎ取ります。
その素顔はこれまで見たことがない男性でした。
えっ? そうなの? これまで出てきた宿泊客じゃないの?
しかし新田は気づきました。あなた会ったことがあると。
つまり,仮面を着けていた口元に見覚えがあったわけです。
仮面をつけていたことが逆に功を奏しました。
しかもこの犯人,本名は森沢光留という「生物学上の男性」です。
彼は「女装して」偽装したクレジットカードでチェックインし,そしてチェックアウトまでしています。(と書けば,もうわかりますよね)
今回の犯人は自分が予想してた人間と違いました。
「彼」は,過去に妹が暴行されたというトラウマで男性恐怖症になってしまったようです。
春菜に裏切られたことで「彼」は殺人を犯したのです。
実は男性でありながら女性に変装して宿泊していたことなど想像できませんでした。結局,渡辺の違和感ある行動は,密告者が操ってました。
その密告者と犯人は別の人物だったんです。完全にミスリードでした(泣)
ホテルの上層部の人間が客のふりをして宿泊したり,不倫の関係にある人間が宿泊したり,と思ったら無理な要求をしてきたり,本当にホテルというのはいろんな客がいるもんだなって思います。
コンシェルジュ,特にそのホテルが一流であればあるほど,客の要求には「No」とは言えないでしょう。
無理難題だろうがそれを何とか解決するのが仕事であるという精神というかプライドというか,普通の接客業とは違う部分があるのだろうなと思います。
常にお客様の気持ちになって物事を考えられる人間でないと務まらないなって思います。
本作品を読めば,視野を広く持ち,いろんなところに目を配りながら,顧客第一で行動する仕事だということがよくわかります。
その反面,悪意を持った客が紛れ込んでしまうこともあるわけですから,本当に大変な仕事です。最後に,尚美はロサンゼルスへ異動になるという話になりました。
尚美は本当に行くのだろうか。続編があるのだろうか。。。
と思っていたら,新作「マスカレード・ゲーム」が出版されたということで満足しています!
● ホテルには今回も多くの「仮面」を装っている人々がやってきた
● ホテルで働く人々は,視野を広く持って行動しなければいけない大変な仕事である
● 本作品でも,作者のミスリードに見事にひっかかってしまいました!
とうとう最新作「マスカレード・ゲーム」が出版されました!
早く読んでみたいです! 楽しみですね!