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【プリンセス・トヨトミ】万城目学|先祖代々伝えるものとは

プリンセス・トヨトミ

先祖代々伝えられているもの,みなさんにもあるのではないでしょうか。

自分の両親がそうしてたから,自分も同じようにしていること。

特に,先祖の墓参りとかに行ったときはそうかもしれません。

墓石を磨き,水で洗い流して,最後に柏手を叩いて拝む。

きっと僕の先祖も,ずっと昔からやってきたのを,親を見て真似てきたんだろうなって思うことがあります。

こんな方にオススメ

● 本作品の「先祖代々受け継ぐもの」に興味がある

● 補助金を国に申請し,その監査対応をしたことがある

● 残された人生を後悔なく過ごしたい

作品概要

このことは誰も知らない──四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京からやって来た会計検査院の調査官三人と、大阪下町の空堀(からほり)商店街で生まれ育った少年少女だった。秘密の扉がついに開くとき、大阪が全停止する!? それは五月末日の木曜日、午後四時のことであった。
-Booksデータベースより-




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この作品は,フィクションではあるものの,大阪の人々が先祖代々伝えて,そして護ってきたものを描いています。

2011年に映画化されたこの作品,主演は会計監査員の松平を「堤真一」さんが,鳥居を「綾瀬はるか」さんが演じました。

主な登場人物

松平 元・・・会計監査院の副長。調査能力と監査には妥協を一切しない。

鳥居 忠・・・松平の部下。ちょっとぽっちゃりしているが,調査能力はある。

旭・ケーンズブール・・・松平の部下。優れた頭脳を生かし,優れた美貌も備える

真田幸一・・・お好み焼き屋「太閤」の主人であり,実は・・・

映画を観て「あれ?」って思ったのは,原作の鳥居は実は男性なんですよね。

旭・ケーンズブールの方が女性でした。

(↓原作だとこなんな感じ↓)
作者は「万城目学」さんで,京都大学法学部を卒業されています。

代表作は何といってもこの「プリンセス・トヨトミ」でしょう。

話は,大阪へ三人の会計監査員がやってきて,中学校への補助金が正しく使用されいているのかを監査するというところから始まります。

学校関係者で補助金申請をしたことある方は,監査と聞いて「ドキッ!」とさせられますよね。

ちなみに僕は「ドキドキ」しました。。。

本作品 3つのポイント

1⃣ 補助金の不正使用?

2⃣ 大坂城の下にある大坂城

3⃣ 先祖代々護っていたもの

補助金の不正使用?

会計監査院というのは,三権分立から独立しているそうです。

国会・行政・司法から独立しているのは,その中に監査院があれば何でもやりたい放題になってしまうからでしょうか。

外部の立場から監査を行う,ということであれば意味があるものなのかなと思います。

監査員たちの中学校への監査が終わり,いよいよ今回のメインテーマである「OJO」という組織の監査へ向かいます。OJOどうもこの企業が胡散臭いのです。一体,何をする企業なのか。

松平たちはこの企業の存在を疑います。

そして,OJOの前にはお好み焼き屋の「太閤」って店があるんですけど,店主の「真田」にも疑いを向けます。

OJOだけではなく,この大阪一帯が何かを隠していると。

松平の追及に耐えられなくなったのか,とうとう真田はあるものを見せることになるのです。

それが大坂城の地下でした。

大坂城の地下

大坂城の下の大坂城

大坂城の下には実は表に出ない「別の大坂城」がありました。

その存在を大阪の人々が秘密にするとともに,豊臣秀吉の末裔をも護っているというのです。

ここで,お好み焼き屋「太閤」の亭主である真田の役割と,多額の補助金をもらっている理由が明らかになります。大阪国への補助金ここがこの作品の一番のポイントになります。一体,彼らは何を護ってきたのか。

そして,その補助金を何に使ってきたのか

ここから先は実際に作品を読んでほしいと思います。

先祖代々護っていたもの

※ネタバレを含みますので,見たい方だけクリックしてください!

👈 クリックするとネタバレ表示

 

地下の大坂城は「大阪国」が運営していました。

しかも,国から年間5億もの補助金をもらって運営されていたのです。

では,なぜ補助金が密かに渡っているのか。

それは豊臣や徳川家まで遡ります。豊臣秀吉が造った大坂城を徳川家はなくそうとした。

しかし大坂の人間たちは密かにこの城を地下に潜り込ませたというのです。

この大阪の人間しか知らない「秘密の城」を国会議事堂そっくりに改変しました。

それが先ほどの「大坂城の地下」です。

その存在は代々受け継がれ,決して公にしてはいけないというお約束ごとだったんですね。

それは旧幕府軍を打ち倒そうとする西郷率いる新政府軍の財力を,大阪国がカバーしたからです。

目標を達成した新政府軍は大阪国の存在を認め,そして隠密に国からの補助金を注入することになるのです。

お好み焼き屋「太閤」の亭主である真田は,実は大阪国総理大臣という立場の人間でした。

そして,豊臣の末裔は「橋場茶子」という少女でした。

橋場=羽柴ってことですかね。

つまり,彼女こそが「プリンセス・トヨトミ」だったのです。

しかし,その茶子が警察に拘束されてしまうのです。

怒った大阪国の人間たちがとうとう立ち上がるのです。

大坂城が赤く染まっていることを「合図」に。

赤く染まる大坂城松平vs真田の第2ラウンド!

補助金不正流用を許さない松平と,大阪国の存在を後世に伝えなければならない真田

先祖代々受け継いできたもの,そして命を張ってでも守らなければならないもの。

真田にとっては,命を張ってでも守らなければならない使命を背負っていたわけです。

大きなものを背負い,決死の覚悟で「秘密」を護ろうとする人間を,松平にはどう映ったでしょうか。

自分は何か残せたのか。自分の仕事は何か得るものがあるのか。

死ぬ気で何かをやり遂げたことがあるだろうか。

そんなことを思ったのではないでしょうか。

考えさせられました。

自分は何か残せているだろうか。子供たちに何か伝わっているだろうか。

一生懸命,悔いのない生き方ができているだろうか。

親から子供へ伝える

この作品で考えさせられたこと

● 護るべき「モノ」だけでなく,護るべき「秘密」があることもある

● 自分は誰かに何かを残すこと,影響を与えることができただろうか

● 今,自分がやっていることは,誰かのためになっているだろうか

あれをやっとけばよかった,これをやっとけばよかった。

そんなことを思いながら終わりは迎えたくないですね。

このブログもそうです。これまで読んだ本の感想を残したい!

そこで学んだことを多くの人に伝えたい!

残された人生を悔いなく生きたいと思わせてくれる作品でした。

作品を是非読んでみてください!!

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