今から15年前,修学旅行の引率でフランスへ行ったことがあります。
ルーブル美術館を見学したのですが,その時の人の多さには驚きました。
特に「モナリザ」と「ピラミッド」の近くはすごい人だかりでしたね。あれだけ有名になった映画「ダ・ヴィンチ・コード」が上映されていたにも関わらず,興味のなかった僕にはその人の多さがよくわかりませんでした。
しかし,あれから15年後,その原作を読んでその理由がようやく理解できたのでした。
目次
1. こんな方にオススメ
2. 作者の経歴
3. 登場人物
4. 本作品 3つのポイント
4.1 ダイイング・メッセージ
4.2 数列の秘密とは
4.3 「聖杯」の真実
5. この作品で学べたこと
● 本作品のキリスト教の世界観に興味がある
● 冒頭のダイイング・メッセージの意味を知りたい
● 本作品のポイントとなる「聖杯」とは何かを知りたい
ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く……。
-Booksデータベースより-
この作品を描いたのは「ダン・ブラウン」さんです。
1964年生まれ アメリカのニューハンプシャー州の小説家・英語教師
父は数学者,母は宗教音楽家
2006年に「ダ・ヴィンチ・コード」が大ベストセラーとなり,世界的にも有名人となる。
ご両親の影響を受け,この作品が出来上がった感じがしますね。
世界には多くの宗教があり,異なる宗教どうしの争いもあれば,同じ宗教内部でも信仰の違いで争いがあります。
考え方や価値観の違いはありますし,それぞれ目指すものも異なるのかなと思います。
ラングドン・・・ハーバード大学教授。犯人と疑われ,警察に追われる
ソフィー・・・・フランス司法警察暗号解読官。ラングドンとともに逃亡
ソニエール・・・ルーブル美術館館長。何者かに殺害され,暗号を遺す
ティーピング・・イギリスの宗教史学者。「聖杯」が何かを探している。
シラス・・・・・オプス・デイという秘密結社の殺し屋。
この作品は,「ソニエール」というルーブル美術館の館長が,何者かに殺害されるところから話は始まります。
一体,誰に,なぜ殺害されたのかが大きなポイントです。
1⃣ ダイイング・メッセージ
2⃣ 数列の秘密とは
3⃣ 「聖杯」の真実
ソニエールは何者かに追われ殺害される間際,何とかヒントを残そうとしました。
その日会おうとしていたハーバード大学教授の「ラングドン」と,自分の孫娘である「ソフィー」にだけわかるような暗号を仕掛けます。
この二人が中心となって話は進んでいきます。
このソニエールは「シオン修道会」という組織のの総長でした。
シオン修道会というのは現実に存在している団体と言われ,キリスト教に異教文化を取り入れようとしたところらしいです。
そのシオン修道会なんですけど,歴代総長の名前を見て驚きました。
「ボイル」や「シャルル」だけでなく,あの「アイザック・ニュートン」の名前まであるんです。そして「レオナルド・ダ・ヴィンチ」。
彼らは,異常に高い能力を持っているだけでなく,キリスト教の重要な役割を果たしていたようですね。ソニエールが最期に残したメッセージは,殺害されたソニエール自身の不可解な「ウィトルウィウス的人体図」の姿と,近くに残されたダイイング・メッセージと思われるものでした。
まず,「ウィトルウィウス的人体図」というのはダ・ヴィンチの作品らしいです。
彼はそれを真似,自分の血で胸に「五芒星」を描きます。
そしてダイイング・メッセージは「フィボナッチ数列」のような番号が書かれています。「13-3-2-21-1-1-8-5」,並べ替えれば「1-1-2-3-5-8-13-21」。
前の二つの数値を足せば,次の数値を導き出せるというものです。
この数列は一体何を意味するのでしょうか。
そもそもソニエールは,なぜ命を狙われたのでしょうか。
最初はそれがよくわからなかりませんでした。
そこに登場するのがシラスという男です。
彼は「オプス・デイ」という秘密結社に所属し,重要な秘密である「聖杯」の在りかを握っていたソニエールだけでなく,ソニエール以外の三人の人間も殺害していました。
どうやらその「聖杯」が重要らしいです。
一体「聖杯」というのは何なのでしょうか?
ラングドンとソフィーが,とうとう「ダイイング・メッセージ」の一つであるフィボナッチ数列の意味を解読します。
それはスイスの保管銀行の金庫の暗証番号でした。
スイスの銀行というのはかなり秘匿性の高い銀行であると聞いたことがあります。
守秘義務があり,現代でもマネーロンダリングに利用されたり,重要な隠し資産の口座に使われたり。
最近では犯罪に使われるようになり過ぎたので,その秘匿性も落ちているらしいですが。
金庫の中には「キー・ストーン」が入っていました。
5文字を入力すれば開くもので,「聖杯」につながる重要なポイントになりそうです。
そして心強い味方が現れます。「ティーピング」という男でした。
ラングドンたちはティーピングとともにイギリスへ渡りますが,この後意外な展開になります。
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最後のクライマックスのことを書く前に,ティーピングとの会話の中で出てきた「最後の晩餐」の話を書こうと思います。
「最後の晩餐」の絵画はよく見るものですが,そこには13人の男が描かれているそうです。
全員男性と思われた絵画でしたが,後世になって絵が修復されて新しい事実が判明したというのです。
中央にいるキリストの左隣に実は「マグダラのマリア」が描かれていることがわかりまました。
この女性は一体何者なのか。
彼女は聖母マリアではなく,キリストの弟子であった「マグダラのマリア」で,この女性は実在した人間で,イエスと彼女の間には子供もいたらしいということがわかります。
どうやらこの子供の存在がわかるとまずいらしいです。
DNA鑑定でもされれば明らかになってしまう。
つまり,これが真実であれば,カトリックが受け継いできたイエス・キリストが「神」であるという神話がなりたたないわけです。
そうなってしまうとキリスト教自体に大きな問題ができてしまう。
その秘密を守っていたのがシオン修道会であり,その秘密を追っていたのがシラスだったというわけです。
この作品の黒幕は誰なのか。真犯人は意外な人物でした。
当初味方だと思っていたティーピングでした。
ラングドンとソフィーは,ほぼ孤立無援の中でどんどん謎を解き明かしながら進んでいく中で,実はティーピングに利用されていたのです。
ラングドン vs ティーピングの直接対決!
自分一人では解読できないティーピングは,高い頭脳を持つラングドンを利用しようとします。
ティーピングはまさに最凶最悪の人間でした。
しかし,最後は真犯人を追ってきた警察に逮捕され万事休すとなります。
ラングドンたちは地図を頼りに「聖杯」の在りかを探し出しました。
「聖杯」とは,「マグダラのマリア」の墓でした。
その存在をシオン修道会は握っていて,利権を得たわけです。
キリスト教原理主義を貫く「オプス・デイ」には邪魔だったですね。
なぜなら,元々キリストは「神」であり,妻も子供もいないとされていたからです。
だから真犯人たちがその秘密のありかを知ろうと,秘密を握るシオン修道会の人間を殺害してきたわけなんですね。
作品の最後にはその「墓」のありかが「ルーブル美術館」の地下であることがわかります。
そしてその入り口が「ピラミッド」だったんですね。
実は,ラングドンと一緒に行動していたソフィーはそのイエスたちの血を引くものでした。
これを読んだ後に,かつてルーブルのピラミッドの周囲の人だかりを思いました。
だからそこで写真を撮る人が多かったんですね。
あぁ。。。今思えば写真撮っとけばよかったなぁ。。。
あの頃から小説を読む習慣があればよかったなぁ。。。
読み終わって,ようやくこの作品の壮大さを感じることができました。
● 世の中には,本当に多くの価値観や考え方を持った人たちがいる
● 世界最大の勢力であるキリスト教の世界観は壮大なものであった
6000万部の大ベストセラーとなった理由もよくわかります。
しかし逆にこの作品に対してよく思わない人もたくさんいたらしいです。
どんなものにも多面性というものがあるし,このキリスト教という世界最大の信者を持つ宗教にもいろいろな価値観を持つ人がいるでしょう。
この作品を公開することで,批判を浴びたこともたくさんあったでしょう。
それでもダン・ブラウンは覚悟を決めて描いたんだろうと思います。
キリスト教の世界観に圧倒される作品でした。