主人公の堀井香恵という女性は,万年筆を扱う店でアルバイトをしていました。
ある日,石飛リュウという男性が絵を描くための万年筆を探しにきたことで知り合います。
この石飛、香恵に好意を寄せているのだろうか、と思わせぶりな行動を繰り返すんですけど,実はそこには大きな理由がありました。
香恵の家に置かれていたノートに書かれた日記の持ち主,伊吹先生とはどういう人なのか。
香恵がリュウを思う気持ちは伝わるのか。切ない恋愛の中に感動もある作品となっています。
目 次
1. こんな方にオススメ
2. 登場人物
3. 本作品 3つのポイント
3.1 残された一冊のノート
3.2 次第に魅かれる香恵
3.3 リュウの正体とは?
4. この作品で学べたこと
● 香恵に近づく石飛の真意を知りたい
● 石飛と香恵の衝撃の結末を知りたい
● ノートに秘められた秘密を知りたい
香恵はバイトとサークルに勤しむごく普通の大学生だ。ある日、前の居住者が置き忘れたノートの束を見つける。興味本位でノートを手にする香恵。そのノートが開かれた時、彼女の平凡な日常は大きく変わり始める――。
-Booksデータベースより-
1⃣ 残された一冊のノート
2⃣ 次第に魅かれる香恵
3⃣ リュウの正体とは
先に書いたように,香恵は万年筆専門店でアルバイトをしているところへ,石飛リュウという男性が突然現れます。店の中で万年筆を見繕う石飛。試作品の万年筆がほしいと言ってきかない石飛。
そんな石飛のことを香恵は警戒しているようでした。
そして,香恵が住む引っ越したばかりのアパートの下まで来て,そっと香恵のいる方向を見上げていたりするところなど、「ん? 何かあるな」と。
石飛は香恵に惚れたのでしょうか。変なぎこちなさを感じます。
ある日,香恵は自分の家の中にノートが置き忘れていることに気づきます。
それは、伊吹という女性教師が書いた日記のようなものでした。
引っ越した伊吹が忘れていったのでしょうか。
引っ越しの時って最後は業者がチェックすると思うんですけど,クローゼットの奥までは見なかったんでしょうね。
この伊吹先生のことを香恵は気になります。「伊吹先生」というのは一体どんな人物なのか。彼女が思いを寄せていた「隆」とはうまくいったのか。
リュウの存在も気になりますが,このノートのこともかなり興味があるようです。
一体,このノートの持ち主である伊吹先生とはどんな人物なのか。
ある日,香恵のアルバイトの同僚が,新聞の切り抜きを持ってきます。
そこには「石飛リュウ」が載っていたのです。実は彼は「イラストレーター」だったんですね。石飛は,香恵の家を訪れます。これはリュウの一方的な思いなのか。
家では香恵がマンドリンを披露したり,逆にリュウは香恵をモデルにデッサンしたり,急速に二人は接近していくようでした。
ここから香恵は徐々にリュウに魅かれていくようになるのです。
現実では香恵がリュウを好きになり,ノートの中では伊吹先生が隆という男性に支えられる姿が,まるでリンクしているようでした。
リュウにまたマンドリンを披露したいと必死で練習する香恵。日記の中では伊吹先生は,自分の担任している生徒が不登校から立ち直り,それは隆のおかげであることが綴られていました。
ここでも自分とその伊吹先生をリンクさせる香恵は,とうとうリュウの家を訪れることにします。
そして勇気を出して自分の本心を打ち明けたいと思うのです。
リュウがやろうとしている個展の成功を願おうとしていました。
そしてリュウの家を訪れた香恵。意を決して思いも伝えようとしている様子。
しかしここで彼女は残酷な現実を知ることになるのです。
※ネタバレを含みますので,見たい方だけクリックしてください!
👈クリックするとネタバレ表示
実はリュウには忘れられない女性がいました。その女性は。。。
なんと「伊吹先生」だったのです! えっ? どういうこと?
日記に書かれていた「隆」はタカシと呼ぶとばかり思ってました。
確かにこれは「リュウ」とも読めますよね。完全にミスリードです。
ではなぜリュウは香恵に接近したのでしょうか。
衝撃だったのは、最後のノートの文章が「ある理由」で途中で終わっていたことでした。
その理由は、彼女が終業式の日に交通事故に遭っていたのです。
つまり,伊吹先生はすでに亡くなっていたんですね。これは想像ですが,リュウは日記が部屋に残ってないか,また日記には何が書かれていたのかを知りたかったのかもしれませんね。自分が思いを寄せていた人が最後に何を考えていたのか。
逆に香恵の気持ちを考えると切なくなります。日記を読みながら,自分自身がリュウに惹かれ,励まされ,しかしリュウは伊吹先生のことが忘れられないなんて。。。
もっと早く正直に言ってもよかったのではないだろうか,って思いますよね。
まっ,でも早く言ってしまえば感動的なストーリーにはならなくなるし。。。
リュウが開く個展を陰ながら応援する姿,香恵の優しさが染みわたる,何とも言えない気持ちになりました。香恵の気持ちを考えると,やはり切なかったですね。
読み終わった後,この作品が映像化されているのか,ネットで調べました。
確かにありました。映画化されてます。ん? 沢尻エリカ? ひょっとして。。。
そうなんです。今から十数年前に一世を風靡した「別に。。。」発言のまさにその作品でした。
これは読了後にネットで調べて,かなりの衝撃を受けました。
あれだけ世間を騒がせた大問題発言の舞台が実は「クローズド・ノート」だったなんて。。。
これ、作者に謝ったのかなぁ。いや,謝る必要もないのかなぁ。
きっとこの作品を見たいという人がたくさんいて,でもあの会見で見る気失った人って,いなかったんでしょうか。
でも逆に見てみたくなったって人もいたかもしれませんね。
ただ,ストーリーは間違いなく感動ものです。偏見なく作品を楽しんでもらえればいいかなと思います。
● なぜリュウが香恵に接近してきた理由が深かった
● 香恵のリュウに対する思いと,日記の内容がリンクしていたが。。。
● 最後の衝撃の結末に切なくなりました