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【オレたち花のバブル組】池井戸潤|大和田常務への倍返し

オレたち花のバブル組

半沢直樹シリーズの第2弾です。

2013年の日曜劇場で放映されたドラマ「半沢直樹」の後半部分の作品です。

前半は「オレたちバブル入行組」が原作で,半沢が支店長の不正を追求し,最後は追い詰めて,自分自身を営業第二部次長へ出世させるという会心の作品でした。

今回の作品にはあの「大和田常務」が登場します。

ドラマ視聴率40%という史上最高値を記録したドラマでしたが,大和田常務の「土下座」の真似をする芸人が現れるなど,社会現象になりました。

半沢が大和田常務をどうやって追い詰めるのかがポイントとなっている作品です。

こんな方にオススメ

● 銀行の債権回収についてさらに学んでみたい

● 半沢が大和田常務を追い詰めるシーンを読んでみたい

● 半沢直樹が今後どうなっていくのか知りたい

作品概要

栄転した営業本部で、今度は百二十億円もの巨大損失を出した伊勢島ホテルの立て直しを命じられた半沢直樹。金融庁黒崎による粗探しにも似た“検査”に備えつつ、再建計画を急ぐ中、赤字ホテルへ融資を続けた銀行側に疑念を持ち始める。この伏魔殿の奥で糸を引くのは誰か。「やられたら、十倍返し」の半沢、それがまさかの……!
-Booksデータベースより-



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半沢直樹シリーズだけでなく,池井戸潤さんの作品は経済小説ばかりなので,銀行のことだけでなく企業経営をも描いた作品が多く,本当に勉強になります。

池井戸潤さんの紹介

1963年生まれ 慶応大学文学部・法学部卒業

三菱銀行に入行 退職後コンサルタント業,ビジネス書の執筆を経験

1998年「果つる底なき}で作家デビュー

主な受賞歴
江戸川乱歩賞(果つる底なき)・吉川英治文学新人賞(鉄の骨)・直木三十五賞(下町ロケット)

主な登場人物

半沢直樹・・・東京中央銀行営業第二部次長

近藤直弼・・・東京中央銀行からタミヤ電機に出向

田宮基紀・・・タミヤ電機社長

湯浅 威・・・伊勢島ホテル社長

羽根夏彦・・・伊勢島ホテル専務

黒崎駿一・・・金融庁主任検査官

大和田暁・・・東京中央銀行常務

本作品 3つのポイント

1⃣ タミヤ電機と近藤

2⃣ 伊勢島ホテルと半沢

3⃣ ラスボス大和田常務

タミヤ電機と近藤

近藤というのは半沢の同期で,彼は東京中央銀行の行員でしたが,電機メーカーであるタミヤ電機の経理部長として出向していました。

そこには田宮という社長がいて,この田宮は近藤を「融資を引き出してくれればよい」くらいの扱いしかしていませんでした。

実際,近藤が融資を頼もうとすると,東京中央銀行京橋支店の担当者である古里からなかなか稟議が下りないという状況で,近藤は板挟みのような形になってしまいます。

彼はかつて「うつ病」に侵された経験があり,また同じ状況になってしまうかもしれない。

社長や他の社員からもいじめられている様子の近藤を見ていると本当に気の毒でした。

しかし,一体なぜ融資されないのか。

それはタミヤ電機自身に問題がありました。

不審に思った近藤が密かにタミヤの経理関係の資料を調査すると,どうやら粉飾決済をしていることを掴みます。

ここから近藤は同期の力を借り,田宮たちを責めます。

再建計画を作成しなければこの粉飾を東京中央銀行へバラすと。

そこから近藤が生き返っていきます。

しかし,どうやらこのタミヤは「大和田常務」とつながっているのではないか,と思わせる流れになっていきます。

伊勢島ホテルと半沢

一方で,半沢は伊勢島ホテルの対応に追われます。

この伊勢島ホテル,専務の羽根が,東京中央銀行からの巨額の融資後,資金の運用に失敗してしまったんですね。

そしてその責任を湯浅社長に押し付けようとするんです。

頭取から伊勢島ホテルの担当を命令された半沢はこの損失の説明を求めます。

湯浅社長は経営を立て直すため,ナルセンというIT企業からシステムを導入し,業務の効率化を図ろうとしていました。

ところがそのナルセンは破産寸前だというのです。

半沢と湯浅は大ピンチとなります。そこで半沢は別の手を考えます。

アメリカ大手のフォスターというホテルチェーンからの資本を受け入れるということを提案します。

つまり,伊勢島ホテルはフォスター傘下に入るということですね。

実は近々「金融庁検査」が行われることになっていました。

もし検査に引っ掛かってしまうと融資を行えないどころか,半沢自身が責任を負う羽目になってしまうのです。

専務の失敗の濡れ衣を,なぜ湯浅社長や半沢が被ってしまうのか。

どうやら,ここにも大和田常務が関わってるようです。

ラスボス大和田常務

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とうとう金融庁検査が始まりました。ナルセンは予想通り破綻してしました。

検査官の黒崎は「ナルセンは破綻したから買収は無理よっ!」とオネエ言葉で問い詰めます。

それを半沢は先に書いた「フォスター傘下入り」のアイデアを披露するのです。

追い詰められたのは黒崎の方でした。金融庁検査を乗り切った半沢は,次は近藤とともに動きます。

タミヤ電機の最大の秘密は,アパレル会社のラファイエットに3000万円も貸してました。

何と,このラファイエットは,大和田常務の妻がオーナーだったのです。

なるほど,そこでつながるのか。。。

京橋支店の前支店長である岸川からの指示でこの転貸は行われていました。

岸川は大和田の部下で,この大和田の指示で動いていたのです。

そして,伊勢島ホテルの件についても大和田常務の指示で多額の損失隠しが行われていたのです。

羽根専務と大和田はここでもつながっていたんですね。

やはりすべて大和田常務の仕業だったのです!そして,ドラマでも話題になったあの「取締役会」が行われます。

半沢はここで大和田常務不正の決定的な証拠を出します。

完全に追い詰められた大和田は半沢の前に敗北するのでした。

ラスボス大和田を倒した瞬間でした。

ちなみに,原作では取締役会での「大和田の土下座は無かった」です。

あのドラマは視聴率を取りに行くために,話を微妙に変えたのかも知れないですね。

半沢のように、銀行員としてやるべきことを多少強引でもしっかり実行する勇気のある人間もいれば,上司のいいなりで、人事をちらつかされて従順になってしまう人間もいるのだなと思いました。

でも,この間銀行員である弟に聞いたら,前者の人間は本当に稀だということです。

やはり人間関係がうまくいってないと,出世にも響くし,正義感丸出しでも「出る杭は打たれる」ではないですが,半沢のような行動は難しいのかなと。

それでも半沢のような勇気を持つ人間は本当に尊敬します。

そういえば「株価暴落」という作品で登場する白水銀行の板東が登場して、半沢たちをフォローするところはよかったです。

作品を超えての繋がりは読んでいて楽しいですね。これが池井戸ワールドの面白さです。

この作品で考えさせられたこと

● 銀行からの融資は,企業経営の発展に使われなければならない

● 銀行の不正がないかをチェックするのが金融庁検査である

● 不正を許さないと堂々と言える半沢の勇気はすごい!

この後,半沢は意外な人事異動をさせられます。栄転するのでしょうか。それとも。。。

次作は「ロスジェネの逆襲」という,僕の一番好きな作品です!

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