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【アルケミスト】パウロ・コエーリョ|夢実現のために必要なこと

「アルケミスト」のサブタイトルの「夢を旅した少年」という言葉を見て,世界中で多くの人々の読まれているのがわかるような気がします。

調べてみると,本作品の発行部数に驚きます。1億5000万冊です。日本でミリオンセラーベストセラーと呼ばれている作品の100倍くらい売れているということです。すごいですよね。

ちなみに世界のベスト3

1位 ドン・キホーテ 5億冊

2位 二都物語 2億冊

3位 ロード・オブ・ザ・リング 1億5500万冊

つまり,アルケミストは第4位ということになります。どうしてこんなに多くの人に読まれるんでしょうか。

以前から本作品の存在と,良書であることは知ってたんですが,なかなか手にする機会がありませんでした。

ようやく読むことができ,その理由がわかったような気がします。

夢を叶える」ということに対して多くの人は「無理だ」「現実ではない」と考えてしまう方も多いと思います。正直言えば僕もその一人です。

しかし,本作品を読めばその考えは違うのでは? と思えてくるから不思議です。だから多くの人々が読むんですね。

羊飼いをしている主人公の少年サンチャゴが,何かに導かれ,旅に出るところからは話は始まります。

こんな方にオススメ

● 夢をかなえるために必要なことを学びたい

●「アルケミスト」とは何かを知りたい

● 自分の将来の夢を考えている方

作品概要

半飼いの少年サンチャゴは、その夜もまた同じ夢を見た。一週間前にも見た、ピラミッドに宝物が隠されているという夢――。少年は夢を信じ、飼っていた羊たちを売り、ひとりエジプトに向かって旅にでる。アンダルシアの平原を出て、砂漠を越え、不思議な老人や錬金術師の導きと、さまざまな出会いと別れをとおし、少年は人生の知恵を学んでいく。「前兆に従うこと」「心の声を聞くこと」「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれること」――。 長い旅のあと、ようやくたどり着いたピラミッドで、少年を待ち受けていたものとは――。人生の本当に大切なものを教えてくれる愛と勇気の物語。
-Booksデータベースより-



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主な登場人物

サンチャゴ・・・・主人公。ピラミッドへ向け,旅をする少年

老人(王様)・・・旅をすることを勧める老人

クリスタル商人・・サンチャゴが働くクリスタル店の店主

ファティマ・・・・オアシスで,サンチャゴが恋をする少女

錬金術師・・・・・サンチャゴともにピラミッドを目指す

本作品 3つのポイント

1⃣ 老人とクリスタル商人との出会い

2⃣ ファティマ,錬金術師との出会い

3⃣ サンチャゴは宝物を見つけられるのか

老人とクリスタル商人との出会い

スペインのある村に,一人の少年が住んでいました。名前をサンチャゴといいます。サンチャゴ彼は羊飼いでいろいろなところを移動する少年でした。羊の毛を売ることで生計を立て,時には旅の途中で羊に食料や水を与え,時には羊を食べることもありました。

羊たちと少年の間には何か絆みたいなものがあるようです。

そんなサンチャゴですが,ある老人と出会います。彼は自分のことを王様と言っています。こんなことをサンチャゴに話します。老人の王様若い頃には,全てのことが実行可能であり,憧れることにも恐れない。しかし時が経つにつれ,自分の運命を実現することは不可能だと思うようになる

確かに昔はあまり恐れることがなかったような気がしますが,いろいろな知識を身につけ,経験を積んでいくにつれ,逆にこうなりたいという自分の夢が非現実的だと考えてしまっていることに気づくことがあります。僕もその一人です。

本作品では時々「前兆」という言葉が登場します。どうやら何かを達成するためにはそこには「前兆」があるというのです。

ある日,老人は言います。

「お前の羊の10分の1をくれれば,隠されている宝物のありかを教える」

この老人の言うことは本当なのかわかりませんが,サンチャゴはそれに従うことにします。

少年は旅をすることにします。「僕は冒険家なんだ」そう考え,ある日クリスタルの商人と出会います。そして商人に,

「あなたの店のウィンドウのガラスをみがかせてください。汚れていたら誰もクリスタルと買いませんよ」クリスタル商人は黙っていましたが,少年は勝手にみがき始めます。どうやら少年はみがくことで食料がほしかったようです。

磨いたお陰で,めったにこない客が二人もクリスタルを買いました。これが「前兆」なのでしょうか。ここから少年は次々にアイデアを思いつきます。

「今度は,クリスタルの陳列ケースを作って,多くの人に見てもらいたい」

でも店主は「陳列ケースは歩く人の邪魔になる」

確かに言われればそうですが,宝石屋ってショーケースがあるのが普通ですよね。クリスタルのショーケースこの辺りが大事なところかなって思います。私たちはそれが有効であることを知っていますが「やってみないとわからない」と少年は言っているようでした。

商人は「変化が好きではない」ようでした。よくある話ですね。

しかし,クリスタル屋の客は増え,少年の頭の中にはすでに「あと6ヶ月働けば,羊が60頭買える」という考えも持っているようです。

何か経営にもつながる考えのようなことを考えているサンチャゴ少年。

さらに少年はアイデアを考えます。

丘を登ってくる人に,このクリスタルの容器にお茶を入れて売りましょうクリスタルの容器にお茶今度は周りでは誰もやっていないことをやるというのでしょうか。これも当たるのです。

ただお茶を売るだけではなく,お茶を飲みたいタイミングで,お茶に使ったこともない容器で売ろうという考え。サンチャゴは経営の視点があるのかと思ってしまいます。

約一年間働いた少年は,次は砂漠を目指すことになるのです。

ファティマ,錬金術師との出会い

砂漠に入った少年サンチャゴ。ずっと歩いているとオアシスを見つけます。

オアシスって,広大な砂漠のほんの一部にあるものだと思ってましたが,本作品でもあるようにかなり大きなもののようです。オアシスそこでは争いは起きず,戦いの疲れを癒し,戦士の帰りを待つ女性たちなど,「キャラバン」と呼ばれる一団を構成する多くの人々が生活する場所にしているところです。

少年は一人のイギリス人と出会います。彼は錬金術を学ぶために「錬金術師」を探していました。

「錬金術」というのは,普通の金属を「金」などの高価な金属に変化させるための方法を言います。錬金術とは何かを少年は知らないようでした。

キャラバンにいるはずの錬金術師を探すイギリス人を,少年は一緒に手伝うのです。

いろいろな人々と接しているうちに,少年も錬金術とは何かを知るようになります。錬金術師には戦いなどで傷ついた部分を癒すということもできるようです。

そこで使われるのは「賢者の石」です。普通の金属を「金」に変えるのも,人の傷を癒すのも,元になるものは同じということでしょうか。賢者の石「賢者の石」っていろいろなところで聞きますよね。「ハリーポッター」などの映画や「ドラゴンクエスト」というゲームの舞台でも一つの「道具」として登場します。

少年はこのオアシスで一人の少女と出会います。「ファティマ」といいます。少年は彼女に一目ぼれしてしまいます。お互いのことを話,次第に距離が近づいていく二人。ファティマ少年がこれまでの経験をファティマに話したいろいろな「前兆」のおかげで,ファティマ自身も運命を感じているようでした。「私はあなたの夢の一部よ」と。

ところが少年はここである人物に出会います。オアシスで生活していた族長です。族長は「オアシスは中立地帯だから,襲ってくるものなどいない」と言います。

しかし少年は見ていました。二匹の鷹が空で何かの「合図」をしていることを。「前兆」であることを。少年はそれを見て「軍隊がやってくる」と考えたです。二匹の鷹信じない族長でしたが,実際に軍隊が近づいていました。救われた族長たち。

そんなある日,少年はこのキャラバンの中で,とうとう「錬金術師」つまり「アルケミスト」と出会うことになるのです。

サンチャゴは宝物を見つけられるのか

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大切なファティマと出会った少年。

しかし出会った錬金術師はさらなる目的地である「ピラミッド」を目指そうとします。錬金術師しかし少年は「自分はファティマとずっと一緒にいたい」とオアシスに残ろうとします。

見つけた幸せを逃したくない。少年はそう思っているようにも見えます。しかし錬金術師は何とか旅を続けるように訴えるのです。

この選択は難しいですよね。もしこれが現在でいうところの「結婚」だとすれば,その伴侶を失いたくない,幸せを失いたくないと思うのが普通だと思います。

錬金術師は言います。

もしお前がここにとどまろうとすれば,ファティマは自分がお前の探求の邪魔をしたと思って不幸になる

説得された少年は,錬金術師とともにピラミッドを目指すことになります。ファティマは「待っている」と言います。

ピラミッド後ろ髪をひかれながらも前を目指す少年の覚悟に,感嘆しました。少年は旅を始めて,錬金術師に話します。

人は,自分の一番大切な夢を追及するのが怖いのです。自分はそれに値しないと感じているからか,自分をそれを達成できないと感じているからです

つまり,期待をして目標を立てたのに,実際にそうはならなくて傷つくことを恐れているということでしょう。本当に今の自分を苦しめているものの一つだなと思います。

錬金術師は,何かを達観しているようにも思えます。そして,ピラミッドを目指し,「前兆」に敏感になることを少年に伝えるのです。

少年は一つの諺を思い出します。「夜明けの直前に,最も暗い時間がくる」目標を達成する直前に何か重大なことが起こるというのでしょうか。何か嫌な予感がします。

嫌な予感は的中して,少年と錬金術師は「軍隊」の一部に拉致されてしまうのです。

そして錬金術師はさらにとんでもないことを言いだします。

「この少年は錬金術師で,風になることができる」

もちろん少年は「何を言っているんだ」って言います。しかし少年は覚悟を決めたように「時間をください」と言うのです。

何を考えているのか。何か秘策があるのか。少年はいろいろなものに語り掛けます。

まずは「砂漠」と語ります。砂漠は言います。

風が吹くのを助けるために,お前に砂をあげよう

そのためには「風」の力も借りないといけないというのです。

「風はすべてを知っているから」

しかし「風」は言うのです。「たぶん『天』に聞いた方がいいだろう

少年は力を借ります。風で砂を巻き起こし,太陽の方向を見れるようにするというのです。

いろいろなものに助けられながら目的を果たすべき,ということを言っているようにも思えました。

そしてとうとう少年はピラミッドに辿り着くのです。宝を見つけるために砂丘を掘り始めます。しかし宝物はみつかりません。近くにいたある男が少年に言います。

俺は二年前に夢を見た。スペインの平原に行き,羊飼いと羊たちが眠る見捨てられた教会を探せという夢だった教会にあった宝物そして「エピローグ」では,少年がスペインの平原へ戻り,宝物を見つけるのです。

少年が目指していた宝物は,こんなにも近くにあったんですね。自分の夢も,意外と近いところにあるのかなと思わせられました。

本作品を読んで思ったことはいろいろあります。

● 夢は達成しようとしないと実現できない
● 夢は一人だけで達成できるものではない。多くの人の力が必要
● その「前兆」に気づこうとすることが大切
● 人間は「変化」を嫌うことが多い
● 自分の夢というのは,案外近くにあるものなのかもしれない
● 達成するためには「勇気」と「決断」が必要である

本作品が伝えたいことは他にもあるとは思いますが,僕自身が読んで感じたことは以上です。

やっぱり「夢は,実現したいという強い思い,勇気,変わるという決断が必要」なのかなと改めて考えさせてくれる作品でした。

きっと,多くの人が本作品に動かされ,夢の実現しているのかもしれないですね。

この作品で考えさせられたこと

● 自分の一人の力だけでは夢を達成するのは難しい

● 夢に向かって小さなことから行動することの大切さ

● 夢を達成するためには勇気や決断,覚悟が必要となる

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